【木材の構造】
木材は多数の細胞の集まりによってできている。針葉樹・広葉樹によって、それぞれ違った組織があり、それらの細胞組織の形や大きさ、配列などにより木材はさまざまな性質や構造をつくりだしている。
「木 理」
木材を構成している細胞にはいろいろな形があり、配列も方向も違っている、この状態を木理という。
〔直通木理〕→目が通っていて、繊維が樹幹の軸に平行しており、加工上、また強度的にも良材である。
〔斜走木理〕→目が通っておらず、繊維が樹幹の軸に対して平行していない。目切れともいう。
〔旋廻木理〕(せんかい、ねじれ)→繊維が幹に対して螺旋状に走り、捩れている。逆目の原因でもあり製材では目切れとして現れる。
〔交錯木理〕(縄目、組み)→いくつかの年輪層とその隣の年輪層とが繊維の方向を違え、螺旋状に走る。ラワン類など熱帯産によく見られる。
〔波状木理〕→繊維の配列が幹軸に対して波行している。柾目面で見られる。
「杢」
木材繊維の交錯、放射組織の配列など種々の原因によって縦断面に自然の美しい模様をつくる。樹幹の根に近いところ、またコブや枝の分かれ目、複雑な繊維の流れ等の箇所に、大きい放射組織もっている。波状木理などが材面に杢として見られる。
美しい杢の板材は昔から貴重とされ世に得難い品物であり、選ばれた木として銘木になっている。
「木 色 」
木材中に含まれる物質には、セルロ−ス・ヘミセルロ−ス・リグニンのほか特殊成分が含まれている、この特殊成分が細胞膣や細胞膜に含まれた木材の香気、色調光沢・味などに関係している、材の色彩は肉眼で観察しても、また同一樹種でも複雑微妙で、表現方法は極めて困難であるが、大体は木材の心材部の色よって表現している。
「杢の名称」
杢は紋様の形などによってさまざまな名称がつけられている。
1,針葉樹(神代杉,屋久杉,黒部杉)などに現れる杢→筍杢(たけのこ)野鶏杢(きじ)雲頭
の杢(うんとう)鶉杢(うずら)笹杢など。
2,広葉樹(欅,楓,トチの木,クワ,カキ,ヤチダモ,クスノキ,ホオノキ,ナラ,マホガニ−,イタヤカエデ)などに現れる杢→玉杢、縮緬杢(ちりめん)如鱗杢(にょりん)牡丹杢(ぼたん)鳥眼杢(ちょうがん)縮杢(ちぢみ)漣紋(さざなみもん)など。
【木材の性質】
木材の含有水分30%以下では物理的・機械的性質に大きな影響を及ぼす、細胞壁の厚さが減少し膨張または収縮の現象をおこす。細胞壁は水分の蒸発によって収縮するが、木材は細胞配列によって、直線方向(板目)放射方向(正目)繊維方向で収縮量の違いがあり木取りの場所によって変化することがある。
「針葉樹」
針葉樹材を形成している組織は、仮導管・柔組織・放射組織などである。
〔仮導管〕→樹体の指示と水養分の運搬を行う両端の細長い紡錐形(円柱形の両端がとがった形)の細胞で、材の90%をしめている。夏材部と春材部では仮導管の細胞膣の大きさや壁厚に違いがある。夏材部の細胞膣が小さく壁が厚いので機械的性質は優れている導管と同じく水液の通路だが、一本の長い管状にはならず、機能的には導管に劣る。
〔柔組織〕→養分を貯蔵している細胞で縦の方向に並んでおり、柾目面に黒く連なっているのが見られることもある。
〔放射組織〕→髄芯及びそれ以外の材部から放射状に配列され、養分.水分の運搬・貯蔵の役目をしている。針葉樹では一般に放射組織は見ることはできない。
「広葉樹」
広葉樹は針葉樹より進化しており、材を形成する組織として導管・真正木繊維・柔組織・放射組織などからできている。
〔導管〕→根から呼吸した水分や栄養分を上部に送るもので、細長い細胞が一列に連なり、大部分の横壁は消失して長い管状となる。細胞壁は木化となる。
〔正木繊維〕→樹体の支持という機械的な作用をしている。材の構成割合は55〜75%を占めている。
〔柔組織〕→針葉樹より数も多く、導管のまわりに散在しているものや長く帯状のものなど配列は様々である。熱帯産林の柔組織細胞の中には、シリカなどの結晶を含む材があり加工上刃物などを損傷することもある。
〔放射組織〕→針葉樹より数も多く、単列のものより多例のものが非常に多く、幅も広く高さもある。